水槽の回転率と循環ポンプの出力
 
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アクアリストが理解しておくべき基礎知識を気のおもむくまま書き連ねます
説明等がわかりにくい場合はご指摘ください、なるべく早くに改善させていただきます

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※注) 既存ショップ様等の 水槽 アクリル水槽製品に関する当店からの意見は致しません ご了承下さい

           
    ▶ 第五回 水槽の回転率と循環ポンプの出力
   
      今回は大型オーバーフロー水槽における水量の回転数について考えたいと思います
諸説いろいろあり考え方や検証の仕方など、とらえ方が多々ありますので、あくまで当社の考え方として参考にしていただければ幸いです

大型水槽設備の中でも、オーバーフローシステムは水量、濾過能力ともに最高の組み合わせであるが、循環量まで気を配って初めて最高の能力を発揮するものです

この回転率こそが諸説いろいろあり、さまざまな考え方があり難しい部分なのですが、当社のお客様やお付き合いのある水槽メンテナンス業者様のお話を総合して考えると飼育水の回転率は淡水の大型魚飼育で約5回転程度、海水で生物濾過メインの場合ではは7回転以上と考えています (※注 これはオーバーフローシステムの場合であり、上部濾過槽システムの場合ではもう少し回転数を下げるべきです)

淡水でも強い水流を好まない種類の場合では水槽本体の循環率を下げて濾過槽への循環率を上げる配管システムで施工する場合があります
また、水槽内の循環も水が滞る場所がないように水槽内の噴出口にも気を配る必要があり、大型水槽では2カ所の噴出し口、水量が2トンを超えるような超大型水槽では3~4ヶ所で施工する場合があります

では回転率を考慮してオーバーフローシステムを導入するにはどのようなポンプが最適であるかですが簡単に列挙していくと

① ポンプの信頼性と耐久性は充分であるか

やはり365日24時間稼働しっぱなしの機器になりますので、まずは第一に耐久性と信頼性があげられます。
これは難しい問題で一般のユーザーが多数のポンプを購入して検証するというのは現実的ではありません、ここは使用されているユーザーやショップ等のレビューを参考にするしかありません
当社では施工実績が一番多く、信頼性、耐久性ともに充分なデータがあるイワキ製RMD型マグネットポンプを主に使用しております、お客様のご要望があれば他メーカーや他の形式のポンプを使用する事も可能です

経験上の話になるのですが水中で稼働する いわゆる水中ポンプというジャンルのポンプでは、本体が水中に入っておりますので耐久性の面でみるとトラブルの発生リスクは高くなると思います

また一つ言えることは、最新型の●●ポンプであるとか、新機能搭載の●●ポンプというような新しい機能を搭載されたポンプは確かに魅力的ではある反面、耐久性と信頼性を充分に検証する期間がまだないということです
充分な検証の上、ポンプの形式とメーカーを選定するようにすれば後のアクアライフを快適なものにすることが出来ると思います


② 水中ポンプのメリットとデメリット

水中ポンプでは構造的にモーターの駆動部が水中に浸かっておりどうしても駆動部の発熱が飼育水に影響してしまいます。これは冬期ではヒーターの稼働を補助することになりますのでメリットとなりますが、夏場の高水温の時期にはデメリットとして大きく影響されてしまいます。中には発熱を極力おさえる機種もあるようですがおよそは影響があるとみて間違いないと思います
またメリットとしてポンプ本体が水中にあるため、駆動音が伝わりにくく静かであることがあげられますが、上記でも書きました通り 耐久性に関してはデメリットにもなります
上記を勘案すると小型出力のポンプであれば水中ポンプの検討も可能であるが、大出力のポンプであればマグネットドライブ式の外部ポンプが望ましいと思います

③ ポンプの稼働流量が明確に表示されているか

ポンプメーカーが表示するポンプの最大流量(例えば1分間に52ℓ)をそのままの数値で流量計算をしてはいけません
これはそのポンプが最大限の性能を発揮した場合の流量であり、実際の循環水量ではないということを意味します
実際に稼働した水槽システムにおけるポンプ流量とはどのようになるのでしょうか、結果からいうと厳密に数値に表すのは難しく、おおよその数値でしか把握できません
それではどのような条件が影響するのか例をあげてみて行きましょう

循環ポンプには電気の周波数(東日本50Hz/西日本60Hz)ごとに、最大流量と最大揚程が表示されています
これはそのポンプの無負荷状態の設計最大流量とポンプが水を送ることが出来る最大の高さのことです
しかし実際には無負荷の状態で使用することはなく負荷がかかった状態での使用になります
まず最初に揚程です、一般的なオーバーフローシステムでは濾過槽の水面から水槽内の噴出し口までの距離で把握します
当社の場合、オーバーフローシステムの架台高さは900ミリで設計する場合が標準ですので実際の揚程は約1メートルとなります

しかしポンプから水槽内の噴き出し口までの配管距離も抵抗になり、配管を曲げたりする際に接続するエルボもその数だけ抵抗になり、厳密にいうとボールバルブや接続のソケットも抵抗になります。
すなわち、配管の距離は極力短くシンプルなほうが抵抗ロスが少ないということです。
たとえばポンプから水槽まで極力短くホース配管で施工すれば耐久性を無視して考えれば理論上は一番抵抗が少なくなります
また殺菌灯や水槽用クーラーなど接続する機器類が増えるほど抵抗が増えて行きますし、使用されるうちに配管内に付いてしまう汚れも抵抗になってしまいます


では実際に計算してみましょう、ここではレイシーRMDポンプの仕様と性能曲線でみてゆきます

※ 少し画像が悪く申し訳ございません


 
 
 
 
 
 
 
         
           
          例としてW1800×D900×H600 オーバーフローシステムの水槽で計算します
この水槽設備では、水槽本体と濾過槽の総水量は約1200リットルになります

余談になりますが、総重量は1.5トン弱です、床補強はしっかりと施工したいですね

当社ではポンプの配管距離や抵抗、揚程等を考慮してポンプの性能曲線でいくと約2メートル揚程で計算しています

たまに濾過槽の槽数や濾材の状態で回転数に影響が出ますかという質問をいただきます。
密閉式の外部フィルター等であればもちろん影響するのは当然のことですが、オーバーフローシステムの場合では厳密にいうと濾過槽の最終槽の水面面積は多少影響しますが、基本的にポンプと水槽噴出し口までの抵抗で決まりますので濾過槽の後に自然吸入でポンプが来るオーバーフローでは濾過槽の状態で水槽の回転数に影響は与えないとご理解ください

何らかの原因でポンプ吸入側に抵抗が出来てしまった場合ではマグネットポンプの場合、ケーシング(インペラーが回転しているスペース)内が負圧(圧力が抜けた状態)になりインペラーにキャビテーション(異常振動)が起こってポンプが破損してしまいますので注意が必要です

話を戻しますと、上記水槽の水量を1時間に5回転程度循環させるとなると、6000Lの性能が必要になります
レイシーの場合では1分間での性能表示ですので1分間に約100Lの性能が必要です
西日本の場合 60Hzの性能曲線で2メートル揚程の場所で見てみると、RMD-401(約46L/分)×2台、もしくはRMD-701(約90L/分)×1台が選択肢になることがわかります
ここでシングルポンプを選択するか、ダブルポンプで選択するかになりますが当社の場合では基本的にダブルポンプを推奨しています

ダブルポンプのメリットとして

① 万が一ポンプが故障した際でも濾過槽の循環が完全停止しないので濾過槽のバクテリアが完全に死滅することがない

② 2台のポンプをそれぞれ水槽内コーナーカバーの上下二段で噴出し口をとれるので、水槽内の水の循環にムラが出来にくい

③ 2台のポンプで運転することにより、水槽の循環量を細かく設定しやすい

④ 場合によってはポンプの消費電力を抑えることが出来る
 (例ではRMD-401×2台で260W、RMD-701×1台で365W)

デメリットとして

① シングルポンプに比べて多少コストが上がってしまう

② ポンプが複数台になることにより、配管が複雑になる

があります、シングルポンプの仕様ではそれぞれメリット、デメリットが逆になります

どちらを採用されるかはユーザー様の最終判断になりますので参考にしてください

以上が大まかなポンプの説明になります

当社では永年の実績によりレイシー製マグネットポンプを採用することが多いですが、他のポンプの採用ももちろん可能ですのでご遠慮なくお問い合わせください


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