濾過材の種類と形状の解説
 
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    ▶ 第六回 濾過材の種類と形状の解説
   
      バクテリアによる生物濾過が水槽の濾過システムにおいて非常に重要な役割を担っていることは充分に理解されていることと思います。一般的な水槽では、バクテリアは濾過フィルターのみならず水槽内部のあらゆる部分、アクリル面、底砂等あらゆる場所で繁殖しています。しかし、水槽内のそれらの場所だけではバクテリアが充分繁殖し濾過能力を発揮させるには生息する面積が狭すぎます。
そこで重要になってくるのが濾過槽に導入する濾過材なのですが、ここでは大型水槽の濾過槽に導入する濾過材にスポットをあてて当社の主観になりますが大型水槽における濾過材を解説してみたいと思います。

では、濾過材としてどのようなものが適しているのか?

① 濾過材は濾過フィルターに飼育水が通過する際に出来るだけ表面積が大きい物が望ましい

② 飼育水が濾過フィルター内の濾過材を通過する際に出来るだけ水の流れを阻害しないものが望ましい

③ 濾過材は極力水質に影響を与えないものが望ましい(特別に機能を持たせたものを除く)

④ 濾過材は通常の使用において変形や欠損しない強度を持ったものが望ましい

箇条書きにしてみるとおそらく誰でも理解されているごく簡単な事柄ばかりだと思います

では素材としてはどのようなものがあるのかというと、セラミック製、ガラス製、サンゴ、ゼオライト、砂、樹脂製、等があります
形状も粒子状、小石状、リング状、マカロニ状、スパイラル状、、、等、さまざまな形状のものがあります
濾過効率の面で言うと、大きなものより小型のもの、リング状のものより粒子状のものの方が同じ容量で比較した場合
表面積が大きくなりますので能力的には高いといえます
サンゴ砂で例えてみると5#のサンゴ砂10Lと20#のサンゴ砂10Lでは粒子が小さいほど粒子間のスペースが小さくなり
その分濾過材の表面積が稼げるということです
ではなぜ小型の濾過材だけでなく大型の濾過材が販売されているのでしょうか?
諸説いろいろありますが、基本的な考え方として濾過効率では小型の濾過材のほうが高く、大型になるほど能力は下がってくるが、濾過材の目詰まりは小型のほうが詰まりやすく、大型のものの方が詰まりにくいということです

例えば60センチの規格ガラス水槽の上部フィルターセットを購入されたとします、この水槽にセットされている濾過槽はメンテナンスし易くアクアリスト初心者にも扱いが比較的容易ですが、その分濾過容積が1~2L程度と少なく濾過槽の深さも確保されていないので小さな濾過材を導入して、目詰まりを起こす前にメンテナンスをすることで少しでも濾過能力を確保することが重要です。
濾過材の容量が少ないことでメンテナンスも比較的に容易に行うことができます
ここで大型のリング状濾過材を導入してしまうと濾過容積が小さい上に濾過材同士の間に大きなスペースが空いてしまい
濾過効率が悪くなってしまいます。
では逆に、W1800×D900×H600サイズのオーバーフロー水槽ではどうでしょうか?
当社で設計した設備の場合では、濾過槽のサイズがW1200×D750×H450になり濾過材のみの有効高さでもH250ミリ以上確保されていますので容量では200L弱の濾過材が入ることになります。

余談になりますが上記の60センチ水槽の水量の約16倍の水槽に対して、濾過材は100倍程度の容量があることになります、設備は大掛かりなものになりますがいかに濾過能力が有利に設計されたシステムであるかわかりますよね

話を戻しますと、これだけの容量と深さがある濾過槽では容易に濾過槽のメンテナンスを行うのは現実的ではありませんので目詰まりを起こしにくいように濾過材も大型のものを導入することが望ましいです

では各素材と形状の違いによる濾過材をみて行きましょう

まず最初にセラミック製の濾過材ですが、セラミック製の濾過材は多孔質のものが多く、バクテリアの繁殖する表面積が大きく濾材として優秀な素材です。特に大型の濾過槽用ではリング状のものが多く出回っており、このリング状の形状は濾過槽の中の水の流れを拡散し均等に水が流れやすい状態を作ってくれます。コスト的にもパフォーマンスが良いものが多く販売されており、中には水質を弱酸性や弱アルカリ性に保つ機能を持たせた商品もあります。メンテナンス性から考えると比重が高く重いので、そのまま大型の濾過槽に投入してしまうとメンテナンス時に取り出すのが大変手間がかかりますので、目の粗いネットに入れ濾過槽に敷き詰めることをお勧めいたしまます。
(このネットに入れる作業ですがお客様の水槽を拝見すると、たまにネットに濾過材を詰め込みすぎてネットに入った濾過材がきれいに敷き詰められずに大きな隙間があいてしまっていることがあります、これではリング状濾過材の水流を拡散する機能が発揮されず、水流に片寄が出来てしまい本来の濾過能力が発揮できない状態になります。ネットに詰める容量はネットの形状にもよりますがおおよそネットの容量の5~6割程度が良いでしょう)
素材の耐久性は商品ごとにより変わってきますが経年劣化により破損する場合があり、特に多孔質であるものほど崩れやすくなりますので注意が必要です。また商品によっては濾過材の素材が溶け出して水槽が白濁りしてしまい使用に適していないものが過去にありましたので、極端に安価な商品には注意が必要です。

次にガラス製リング濾材ですが基本的にはセラミック製と同じです。しかしセラミック製より多孔質状のものが多く濾過能力は高いと思われますが、セラミック製に比べて製品強度は低く取り扱いには注意が必要です。
メリットとしてはセラミック製に比べコストパフォーマンスが良い製品が多く、大型の濾過槽には多く採用しています

サンゴ砂ですが、濾過材に使用する場合では10#~20#程度を使用される場合が多く大型の濾過槽で15#、20#の使用が多いです。サンゴ砂を濾過材に使用する場合はほとんどの場合が海水魚か活魚水槽であり、淡水の場合ではアルカリ性の水を好む一部の種類に限られます。サンゴ砂は自身が水に溶けだすことで水質がアルカリ性になりますので、極端な表現をすると濾材が崩れるというよりも溶けて小さくなってくるとの表現が良いかもしれません。この濾材も15#では細目のネット、20番では粗目のネットに入れてのご使用をお勧めします

最後にプラスチック製濾過材です、これも各社色々販売されておりますがここではスパイラル状濾過材で説明いたします
この濾過材は水族館や養殖場、水産試験場、プール・池・湖などでの水質の浄化実績をあげており、材質は塩ビ製で出来ており以前はフジノスパイラルという商品名で流通していた商品です。特殊なヒダがスパイラル状のボール形状になっており通過する飼育水が複雑な水流になり濾過槽全体に万遍なく行き渡ります
セラミック製の様な多孔質状にではありませんがこの特殊なスパイラル状の形状が大きく表面積を稼いでおり充分な濾過能力を発揮します。
メンテナンス性から考えると比重が非常に軽いので、そのまま大型の濾過槽に投入することが可能です。導入当初はヒダの奥の空気が出てしまうまでは水に浮いてしまいますが一旦なじんでしまえば大変使い勝手も良好です。セラミック製のように重くなく濾過槽からの出し入れもネットに入れる必要がありませんのでネットに入れることによる水流の片寄もなく、濾過槽の立ち上がりは若干遅いように思いますが一旦立ち上がってしまえば濾過能力も充分な能力を発揮します
素材の耐久性は非常に良好で素材の自重による濾過材の崩れはほとんどありません
唯一のデメリットとしてセラミック製やガラス製のリング状濾過材に比べて初期コストが高くなってしまいますが、近年販売価格もだいぶ落ち着きをみせて価格差も縮まってきています

以上大まかに各濾過材の特徴等を述べてきましたがまとめてみると

① 濾過材は小さいほど濾過能力が高い

② 小さい濾過材は短期間で目詰まりを起こす

③ 大型の濾過槽にはあり程度の大きさの濾過材が向いている

④ セラミック製リング濾材は濾過能力は高いが比重が高いためメンテナンス性は悪い

⑤ ガラス製リング濾材はセラミック製に性能は準ずるが濾過材が崩れやすい

⑥ プラスチック製スパイラル濾材は濾過能力、メンテナンス性、耐久性等、すべて良好であるがコスト的には不利

どのような濾過材をを採用されるかはユーザー様の最終判断になりますので参考にしてください

当社での実績はグラスリング濾材、セラミックリング濾材が主力ではありますが、近年スパイラル濾材を採用されるユーザー様が増えてきております。他の濾過材の採用ももちろん可能ですのでご遠慮なくお問い合わせください

上記を踏まえて濾過材の選定に役立てていただければ幸いです
長文を最後までご拝読いただきありがとうございました

グラスリング濾過材の詳細は こちら から

スパイラル濾過材の詳細は こちら から

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